Vol. 28 Resilience at Work: 未来を拓く人材を育てるために [Part 1]

2021年10月26日
Resilience at work

今回のパンデミックでは長期的な視点から多くの気づきが得られました。健康への脅威に対処するために従業員の福利厚生プログラムや戦略が導入されてきましたが、当面の健康リスクに対処するための新しいハイブリッドなワークモデルは、リモートワーク、フレキシブルなスケジュール、コラボレーションテクノロジーへの急激な依存など、新たな検討事項が提議されました。また、私たちが最も被害を受けやすい部分も明らかになっています。詰め込まれた会議スケジュール、長い労働時間、他人の世話、経済的な不安、そして孤独です。

このような状況に対応するためにはリソースをどのように捉えるかが鍵となります。私たちは仕事をするために自分の時間と才能という資源を投入します。また、仕事の責任や目標を達成するために環境やツール、適切にサポートしてくれる文化などの追加的なリソースを雇用者が提供してくれることを期待しています。これらのリソースは従業員のレジリエンスに貢献できるでしょうか?従業員のレジリエンスを高める上での職場の役割は何でしょうか?長い目で見れば、従業員のリソースのニーズを満たすことができる組織はどのようなストレス要因があったとしても、より健康的でパフォーマンスの高い、将来に備えた従業員を持つことができるでしょう。

レジリエンス(resilient)とは悪い出来事に耐え、それに対応し、回復する能力のことです。未来への対応とは問題を予測し、それに対処するための準備をすることです。パンデミックによって労働力がどのように変化しているかを学ぶことは将来への備えに不可欠です。逆境に直面したときにどのような状況がレジリエンスを刺激し支えてくれるのかを教えてくれます。私たちが注意を払えば従業員のレジリエンスを高めることができ、世界規模の混乱が生じたときに支払うべき代償を少なくすることができるのです。


なにが問題なのでしょうか?

パンデミック前の知識労働者の「問題」は最高のパフォーマンスを達成することに集中していました。それがイノベーションの鍵となるからです。なぜワークフォースのピークパフォーマンスが実現しないのか? その原因はコラボレーションの欠如というよりも、ストレスとそれに伴うバーンアウトのように思えました。パンデミックを生き抜くためにも企業は革新の必要性をさらに強く感じており、仕事のやり方が激変する中で最高のパフォーマンスを発揮することはかつてないほど困難なようです。

バーンアウトは2020年以前から懸念されていました。パンデミックは、病気、悲しみ、喪失感、不安、トラウマ、うつ病などの形で私たちのリソースの多くを奪っています。専門家は人々が回復するには数ヶ月から数年かかると予測しています。

COVID-19のロックダウンではトラウマや悲しみ、病気を経験した人が多くいます。なぜ、ある社員はうまく対処できるのに、他の社員は苦労するのでしょうか?家で仕事ができるからでしょうか?最新の技術を持っているからでしょうか?日中に運動ができるからでしょうか?そうかもしれません。答えは簡単ですが、単純ではありません。すべてはリソースの問題なのです。解決策であるリソースにたどり着く前に、問題であるストレスについて見てみましょう。

組織における最重要課題

仕事のパフォーマンス低下、離職、生産性の低下、健康関連のコストは、これらの人々が働く組織にも影響を与えます。対策をせずに放置しておくと、組織への財務的な影響はこれまでも莫大でした。

20年以上前、米国の仕事上のストレスによる経済的負担は次のように見られていました。

  • 離職率の40%はストレスが原因であった。
  • 医療費の支出はストレスが多いと回答した労働者の方が50%近く多かった。
  • 仕事のストレスは経済的な問題や家族の問題よりも多くの健康上の不満の原因となっていた。
  • 平均的な従業員を補充するには影響を受ける役職の給与の120〜200%の費用がかかった。

同様に、2000年代初頭、職場でのストレスとそれに関連するメンタルヘルス問題にかかる欧州の財政コストは、国民総生産の平均3〜4%と推定されています。

2019年にWHOが発表した「バーンアウトは職業的現象である」という宣言は職場でのストレスの状態が改善されていないことを示しており、従業員の苦痛を永続させている組織の関与を認めています。

これまでの研究では、回復力のある労働力をサポートするためにメンタルヘルスのリソースへのアクセスなどのプログラムに投資することが奨励されています。うつ病や不安障害の治療を拡大するために1USドルを投資すると、健康状態や労働能力の向上により4USドルの利益が得られます。

パンデミックの渦中で国民の多くは慢性的なストレスを感じており、現状のままではバーンアウトの発生率やリスクが高まっています。

もし職場全体がストレスの原因ではなく、ストレスを軽減するためのリソースであると考えられたらどのような職場になるでしょうか?

リソース:HAWORTH

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